違う星の人
嫌いなものには嫌いと言っておく。タモリさんが仰っていた台詞である。昔フランス料理が嫌いと言ったら、最高級のフランス料理でもてなされて「これでもまずいのか」ということがあったそうだ。結果、美味しかったらしい。ただ、それ以来その味に追いつくようなものが無いから結局フランス料理は食べてないそうだ。
俺は昔から嫌いなものは嫌いと言ってきた。何も考えてないだけで確固たる信念があったわけでもない。そのおかげで嫌いだなーと思う人間なんかが出てきたら、時には無視し時には排除してきた。小さい時はそういうものへの規制が激しい(?)ので学校なんかだと大体の教師は注意なり何なりで規制をかけてくる。
もう随分前、小学校の時分。A君がB君を嫌いと言っていたのを俺がB君に報告したら、後日俺が教師に詰められるということになったこと。詳しく言えば、B君は一緒に登校する関係でまあ何気ない会話の中でそういう話が出た。B君は単純に嫌いといわれて怒った。そしてB君はA君を攻撃した。教師登場。詳しく話を聴けば俺の存在。俺はA君が嫌いで幾度となく言葉や態度でそれを示していた。教師も前科がある俺にはゼロベースの判定はしない。どうせいつも通り俺が悪い。そう考えてもまあおかしくはない。詰められるのは仕方が無い。
ただ、詰められる中で唯一引っ掛かった部分があった。それは
「嫌いって言ってたことを何でB君に言ったの?」
というところ。
「?」
A君が嫌いって言ったこと自体は問題ないんだ、そう思った。
今なら世間の解釈というか、常識みたいなものが見えるようになったから言わんとすることはわかる。ここでは事実ではなく建て前が大事なんだと。ところが、いざ大人になって見渡した景色の中にそれを建て前と思ってる人はまあ少ない。別に実なんてどうでもいいのだ。