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あって困るものでなし

ただで貰えても要らないものは山ほどある訳だけど、

ぼくはお金を使わずに生きることにした
マーク ボイル
紀伊國屋書店
売り上げランキング: 1103

という、半分くらいは釣りかと思うようなタイトル。

別に、人が生きる上で不便を許容すれば不可能ではないものの、あえてそうはしない。それは人の性質上好んで面倒を享受しはしない傾向がセッティングされているから。というと、いわゆる自給自足を地でやっている人は人として欠陥があるのかと言う話になりそうであるがそうではない。結論から言えば、面倒が楽しいと思えるほど日常に余裕のある人はそういないと云う事がある。父親にしたいランキングで上位に来るジョージは面倒臭い事が幸せだと言う。彼をして余裕を感じないなら誰に余裕を感じるだろうか。決して彼は金を使わずに生きてはいないが、あえて面倒な道を選ぶ事は多々にある。

人間は放っておくと楽な方に流れるものだと理解している。そしてその積み重ねが歴史であり産業革命であり環境汚染である。本書はそういった消費の歴史に対する疑問とでも言おうか。俺自身もかつて小学生時分に考えた事もあった、自然で暮らすという事を。しかしそれを実行していないのはこの消費社会に慣れてしまった事と、そこで偉大になってやろうという一時の野心の結果かもしれない。ただ、かつて思っていた金を使う世界にはここ数年で趣を異にしている。というのも、よくある引き算の域に達した事が大きい。

例えばファッションの世界では上級者になればなるほど引き算がうまくできるそうだ。厳密には同じではないが、物理学の世界でもより簡単な式で現象を記述したくなるもの。これと逆なのは工学関係でどんどん記号を増やしていく。

何が正しいという議論は大の大人になってする議論ではないし、それは未来に生きる人が判断すればいいとオチがついている(?)世の中には金を使わずに生きている人だって少なくない。生まれた時から資本主義の中でいてそれを疑わずに死んでいく人もあれば、どちらが真実とも言えない。有る生活も無い生活もあって初めて存在を認識する。一日に於ける昼と夜みたいなものだ。

これからの貨幣の行く末は知らないけれど、使うにしろ使わないにしろ通貨の存在で生きる事を左右されるようならそれまでだったという事だろう。

It is time of the switch.
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