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僕はまだ日本人を知らない

日本人はなぜ株で損するのか? (文春新書)
藤原 敬之
文藝春秋
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いつだったか、ジョージソロスさんも言っていた「日本人に金融は向いていない」

本書を読んで、「ああ、そういう面が向いてないという事を言いたかったのかな」と思った。習慣や教育が大きな原因と言うか要因な訳だけど、そういうのが悪いって言うんじゃなくて、結果的に投資に向いていないという体質を作ってしまった事に問題がある。

去年の震災や天災がきっかけになったとは言わない。しかし、あれによって多くの人が見方を変える結果になったのではないかと。つまり、家を建てたらずっとそこで暮らせるといった事。それはもっと言えば国にずっと住んでいられるかどうかという事も含めてだ。

戦争を経験している人は少なからず金の価値が無くなる経験もしているはずなのに、彼らの資産の多くがどこにあるかといえばよくご存知の通りである。いざとなれば消えて吹き飛ぶ金庫の中。まだ、金庫にあればいいけれど、この三月には国家の借金と国民の資産がイコールになる事を考えればもはやそれも危うい。信用創造と言ってしまえば全てなんだけど、要は銀行にある金は良い投資対象がないと国債に回ってるって話。

国債を民の貯金でファイナンス。

インフレにすればっていうけど、信用創造が上手く機能してまさに金を融通すれば幸い。しかし、元本ってのが五月蝿くて刷っても刷っても国債に消えてしまえば何の意味も無い。まだ刷り止まねば誰が喜び、誰が丸くなるのだろうね。

国民性とか、言い方が非科学的な匂いをさせている所為でどうも胡散臭いが、国という単位でくくられそれにぶら下がっている以上トレンドがあって然りだ。日本の文化だってその国民性によって築かれた独自のものと言いたげであるし。ただ、残念なのはその国民性が思考停止に貢献し多くの問題を生んでいるのも事実。

先進国でいてこれだけの情報に溢れ、歴史も概ね歪まずに伝えられているだろう中で金融に向いてないとか、実は怠慢だったんじゃないかとも思えてくる。本書の中に今しか見ない日本人という表現があるが、まさにそう。大阪では橋下市長の声が大きく響き、もっと先の事を考えてと言っている。首相も一応大局を見据えていこうと言っている。民主主義の点から言えば本来は国民からその声を上げるべきかな。

まあ目の前の事を一生懸命やるという自己啓発系の本を信じてがんばるのは結構だけど、それだけじゃ立ち行かなくなる未来がそこに迫ってるかもしれない。おれも気を付けないと。
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