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天使の翼と妖精の羽



形態の生命誌―なぜ生物にカタチがあるのか (新潮選書)




長沼 毅

新潮社

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心よりも、体のような形を持つものが先にあるということが、おれの中で今のところ結論が出ている。しかしそうはありながら、なぜその形を持ったのかなんて事はあまり考えてない。本書の中にもあるけれど、科学はWHYに答えるのではなくHOWに答えている。つまり、形を持った理由は実のところ考えてもわからないのかもしれない。



たまたま



そう、全てはたまたま生まれた。極端に言えば宇宙の誕生も生命の誕生も何で起こったのではなく、たまたま起こったのかもしれないという事だ。このあやふやな感じが気持ち悪いと感じるか、割り切れないものだと受け入れるかは概ね好みにもよるのだろう。しかし、何でもかんでも理由がつくという事は裏を返せばどれにも理由が無い事と同じような気もする。



タイトルにしてみた天使と妖精。まあ鳥と虫のパーツを人にオプションしたようなもん、というところまではいいとして。翼というのは肩甲骨にドッキングされるそうで、鳥的に。従って、手を肩甲骨にドッキングしている人間は相同器官の具合が悪い。従って、パタパタすると手も一緒に動いてしまい何とも不格好になってしまうそうだ。



その点虫という高性能生物の羽をオプションした妖精は飛びながらもその手を自由に出来る。



とまあメルヘン話もそこそこに、この本の読みやすさはそういったことだけではない。ここであえて、なぜおもしろいのかを言わない方が科学的な紹介の仕方のような気がしなくもない。それはそれは、買ってもらって読んでみれば一番いいわけで。



でも一つだけ言うなら、生物学といったような近い領域で学がある人ではなく、サイエンス全般に興味があって広く浅く理系のインテリジェンスがある人の方が楽しめるように思う。おれとかは物理が強いて言うなら専門だけど、難しくて読めないなんて部分はほぼ無かったよね。フラクタルとかの話も出てきたし、それは生物に限らず物理でも使う話。



ゲーテやダーウィンの事にも触れていたように、学問なんて言うのはどれか一つ専門にしたからどうって言う事じゃない訳なんだな。どこか足りないから必要になる領域ってのが出てくる訳で。かといって必要を求めてしまうと薄れる好奇心によって進化を阻まれてしまう。



好奇心があるうちにぜし
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