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A PAGE OF HISTORY

世界史をつくった海賊 (ちくま新書)
竹田 いさみ
筑摩書房
売り上げランキング: 20312

その割に世界史ではそこまで大きく扱われていなかった印象がある。といっても俺は理系だったので文系他のやってたことはあまりわからないわけなのだけど。それでも本書の中心人物であるドレークについて、その功績やなんかはあまり周知されていないはずだ。



それよりも有名な某マゼラン。世界周航を果たした人物として小学生の頃より学校で教わる。実際はセブ島で殺されたマゼランに代わり、部下の船団が達成したということも一応聞いたことがある。しかしその指揮をしたのがエルカノだということは後日自分で調べて知ることになる。加えてドレークが世界周航において全行程で指揮をとり、尚かつ一時は国家予算の三年分まで稼いだなんてことは本書で初めて知った。二番手ドレークではなく、本来伝わるべきは一番手ドレークなのである。ただ、こんなことは有史以来頻発することで、著名発明家や科学者において珍しくない。

重要なのはそんなとこではなく英国発展の要因である。

スペインという大国が幅を利かせていた中、その無敵艦隊を突き崩し海洋国家の地位を上げた過程こそ学ぶべき歴史であるとおれは確信している。エリザベス女王をトップに海賊を上手く利用し国家繁栄を実現する。これはつまり発展のために国が力を入れるのはどこかを見極めることが肝要と言う話。まだ世界地図どころか航海術も未熟な時分なら海洋関係の成長が欠かせない。最近の話に置き換えれば韓国のITがそうだ。

そして次に、エリザベス女王は海賊行為によって手に入れた金の幾らかを懐に入れ、私利私欲のためではなく貿易へと繋げていく。まあ女王の家は国家なのかその辺の心理は計りかねるが、だとしたら国民にとって一番大事な豊かさもそういったことでもたらされるのは否定出来ない。たとえそれが盗品ばかりで潤ったとしても一国の主たる人間かくあるべし、である。

現代、世界にスペイン語と英語の話者が多いのもこの時期に世界に出ていた結果なのは自明。航行に時間がかかった頃ですら(だからこそ?)外に目を向けていたのに、遥かにインフラが整っている今籠る理由が無い。なにより、昨今のような危機的状況を見るに、国際協力が繁栄はもとより生存のキーである。いざという時にはみんなが助けてくれるし、場合によっては国内よりも確かな力になってくれる時だってある。無論、過去もあって、柵も拭えないかもしれない。けれど、世界はそこまで未熟じゃない。
船を造りたいなら、太鼓を叩いて人を集めて木材を運ばせたり、作業や仕事を割り振ったりしてはいけない。そうではなく、果なき広大な海に思いをはせるように教えなければならない by サン=テグジュペリ


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